112。
わたしが部屋にこもっている間に外の世界ではいろんなことが起きて、みんなあっという間に先に進んでゆくのだろうなと思うと、それが怖いのにどこか安堵していたことを思い出す。
もうここからでは追いつけないし、まずここから出ることがわたしはできない。
明らかに不可能なことは諦めるしかなくて、選択する余地がないことがわたしを安心させた。
だけどそれは大きな勘違いで、本当はまだ選択肢は残されていて、まだ間に合う位置にこの体はあった。
だって今更足掻いたって。
そうやって都合よく期限が過ぎたと言い聞かせて食べようとしない間に、本当に来てしまった期限切れ。
今日は大切な日だった。
どうもしてあげられない悲しみの、そのそばにただいたかったけど、一人の方がいい時が誰にだってあるんだとわかった。
流れないはずがなかった涙を思って、一年前のあの声が耳の奥で何度も響いた。
命って大切。
命って尊いものよ。