現実がここで回り出す。

 

今年の秋はないのかもしれないなぁって思っていた。

暑い暑い夏が身を焦がして身体は少しほっそりした。

こころは疲れてしまってげっそりしていた。

暑さに負けて逃げたくて、いろいろなものに牙を剥いていたように思う。

 

大きくて強い台風がやってきて、わたしは終わる命のそばにいた。

世界の中心で愛をさけぶ をどうしても思い出してしまうような状況で、長澤まさみの声が頭の中で何度も響いた。

オーストラリアに行く約束なんてしてないけど、まだ若くてかわいい命の終わりを思うといたたまれなかった。

 

あの映画でアキ(長澤まさみ)は言うの。

「どうしてかな、眠れないの。

明日が来るのがこわくて眠れないの。

私、もうすぐ死ぬと思う。」

 

 

明日を生きたい命があるのに、叫んで叫んで、明日を望む人がたくさんいるのに、わたしは自分から終わろうとした。

お薬をたくさん飲む行為を久しぶりにしてしまって友人と、母親と、あの人に迷惑をかけた。

とても反省していて。

だからってやり直せない、時間は戻せないんだからどうしようもないけれど。

 

わたしはひとりになってからとても不安定になって、時間を過ごすのが下手になった。

今は仕方がないのかもしれないけれど、だからと言って許されない事だし、本当に自分はどうしようもないなと思ってる。

胃洗浄まではせずに済んだけれど、目が覚めた時に病院でがっかりしたのも事実だった。

 

強い風が窓を叩く。

 

わたしの部屋には赤ちゃんをあやすためのオルゴール付きのぬいぐるみがあるのだけど、

そのメロディがとてもかなしいメロディなの。

どうしてだろうってずっと思ってる。

楽しかったり癒される曲調ではないの、悲しくて切なくて聴くと泣きたくなる。

悲しいから、泣き止むのかもしれない。

ぽろぽろ静かに流れる涙も、大声で泣きじゃくることも、抱えきれない感情が漏れているだけで、本当に、本当に悲しいと人は涙なんて流さないんだよね。

そうだ、そうだった。

 

 

 

5日かけてこの文章を書いた。

5日経っても、何も変わってなかったから、一文字も削除しなかった。